2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20019028
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
鮫島 和行 Tamagawa University, 脳科学研究所, 准教授 (30395131)
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Keywords | 大脳基底核 / 報酬価値 / 認知機能 / 線条体 |
Research Abstract |
本研究では、大脳基底核線条体における認知的な機能を調べるために, 意思決定の認知的側面と運動的側面の両方を伴う課題を開発し, 大脳基底核線条体から単一細胞記録をおこなった. 意思決定の瞬間を明示的にするために, 試行毎に与えられる視覚刺激情報に基づいて, 認知的に意思決定を行い, ついで運動を行うことを決定する認知-運動意思決定課題をマカクサルに訓練した. この課題では, サルはディスプレイの前に座り, ボタンを押すとタスクが開始する. タスク開始後に多数の図形から2つの図形がランダムに提示される(Cue刺激). 遅延期間の後, Cue刺激で示された2つの図形のうち一方が提示される(target刺激). この時点でボタンから手を離すと提示された図形に対応した量の報酬が与えられる. もし押し続ければもう一方の図形が提示され, この時点で手を離すと2つ目の図形に対応した量の報酬が与えられる. 選択した図形と4段階の報酬量の関係はセッションごとにランダムに切り替えられ、動物は試行錯誤を通じてその関係を学習する. より多くの報酬を得るためには, Cue刺激提示期により多くの報酬を予期する適切な図形を2つの図形から選択する認知意思決定を適切に行う必要がある. 実際, サルは図形と報酬量の関係を学習し, 報酬を最大化する意思決定が適切におこなえた。この課題中の線条体神経活動を記録したところ, 課題開始時, Cue提示期, Target提示前後, 報酬予告刺激提示期, 報酬期のそれぞれで神経活動が記録され, Cue提示期やTarget提示直後に報酬を予期する神経活動が少数見つかった. このことは, 線条体が運動の決定のみならず、目標とする図形を認知的に記憶する認知的な意思決定の場合にも報酬予測を比較によって意思決定に関わることを示唆している.
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