2008 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトによるシナプス機能調節機構解明とその脳内局所異常が行動に及ぼす影響
Project/Area Number |
20019032
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
池中 一裕 National Institute for Physiological Sciences, 分子生理研究系, 教授 (00144527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 聡 山形大学, 医学部, 教授 (80173384)
|
Keywords | アストロサイト / アレキサンダー病 / セルセンサー / 長期増強 |
Research Abstract |
我々が作成したAlexander病モデルマウス(変異GFAPのトランスジェニックマウス、hemizygote)は、アストロサイト細胞内に凝集体が形成され、凝集体形成に依存してカイニン酸全身投与によるけいれん誘発閾値が低下する。モデルマウスではGFAPの発現の強い領域、例えば、海馬、淡蒼球、嗅球、glialimitansにおいてのみ凝集体が発現すること運海馬を含む背側終脳の凝集体のみを消去したマウスではカイニン酸によるけいれん誘発閾値が正常と同じであることから、海馬神経回路になんらかの機能異常が生じている可能性が示唆された。アストロサイトの異常が、神経回路機能発現にどのような影響を及ぼすか、海馬スライス標本を用いた電気生理学的解析を行った。 海馬スライス標本を用いて、CA3-CA3-CA1synapse伝達について検討した。野生型マウスではLTPが起こりえない10Hz10発の低頻度刺激によって、モデルマウスはLTPを起こすことが明らかになった。またCA1錐体細胞から記録してDaired pulse inhibitionを検討したところ、モデルマウスではpaired pulse inmbitionが有意に抑制されていることが明らかになった。このことから、モデルマウスでは、抑制系が障害を受けているために興奮性が亢進していることが示唆された。次いで、網羅的行動解析を行った。モデルマウスは、運動、知覚で異常が観察されなかった。より高次な機能を評価したところ、不安、抑うつ、恐怖、sensorimoter gatingでは異常が観察されなかったが、社交性のわずかな異常が観察された。海馬依存的な学習については現在解析中である。
|