2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20020001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 真樹 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 准教授 (90301887)
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Keywords | 大脳皮質 / 眼球運動 / 神経活動 / 選択的注意 / ワーキングメモリ / 霊長類 / 神経生理学 / 前頭連合野 |
Research Abstract |
われわれは眼を動かさずに、視野内の物体のひとつだけを選択し、その動き伴って連続的に、随意に注意を移動させることができる。本課題では、こうした空間的注意のトップダウン制御の神経機構を調べている。注意の移動が必要となる行動課題(Covert tracking課題)をサルに訓練し、前頭眼野とその前方の外側前頭前野からニューロン記録をおこなっている。サルは、複数の妨害刺激(Distractor)を提示した条件でも標的を内的に追うことができるように訓練してあるが、神経活動を記録する際には、標的とともにひとつの妨害刺激のみを提示してきた(図1左)。これまでの研究で、標的の位置によって活動を変化させるニューロン(Attention type)に加え、妨害刺激の位置によって活動を変化させるもの(Distractor type)、標的と妨害刺激の両方の位置によって活動を変化させるもの(Conditionai type)が見出されている。後二者の応答は、妨害刺激に対する視覚情報処理の抑制に関与していると考えられるが、そうした信号は、見た目では区別のできない複数の物体を能動的に選別する際に必要となるのか、あるいは標的以外の物体であれば何に対してでも反応するのか、明らかではない。そこで、これまでの標的、妨害刺激とともに、常に色の異なる視覚刺激を第二の妨害刺激として同時に提示し、その際のニューロン活動を逆相関法によって解析した。その結果、第一の妨害刺激に応答するが、第二の妨害刺激には応答しないニューロンが見出された。こうした活動は、外的には見分けのつかない物体を内的に区別するときに有用になると考えられる。動いているものを内的に追跡するとき、外側前頭前野は標的の情報を増強するとともに、妨害刺激の情報を積極的に抑制するためのトップダウン信号を生成していると考えられる。今後は、本研究で見出された神経活動の定量的な解析と、電気刺激実験などを組み合わせることで研究の大きな進展が見込まれる。
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Research Products
(15 results)