2008 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動時における輝度および色変調運動刺激の運動視知覚に関する認知神経科学的研究
Project/Area Number |
20020006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 郁也 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (60396166)
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Keywords | 実験系心理学 / 神経科学 / 脳・神経 / 運動視知覚 / 眼球運動 |
Research Abstract |
追跡眼球運動中に視覚対象の運動速度を認知する際に脳内で用いられる眼球運動情報と視覚運動情報の利得・表現形式・演算内容は不明である。そこで、輝度刺激と色刺激とを用いて心理物理学的に脳内計算過程を解明する。最小運動法を用いて色刺激の等輝度性を被験者ごとに較正し、それぞれの被験者に画面上の追跡対象に対する滑動性追跡眼球運動をさせながら、等輝度正弦波縞模様を画面に呈示し、縞模様の可視性を評定法にて測定した。縞模様は画面上で超高速で流動しており、臨界ちらつき頻度を超える時間周波数で動いていたが、眼球運動を運動方向に対して行うことで網膜投影像における縞模様の時間周波数が減少することになる。この網膜上の時間周波数の関数として可視性の変化する様子をとらえた。また、統制実験として、被験者に画面中央の固視点を固視させながら、画面上で等輝度縞模様の時間周波数をさまざまに変えて追試を行った。その結果、いずれの条件においても等輝度縞模様が網膜上で静止している場合に可視性が最高になること、網膜上で超高速で流動しその時間周波数が臨界ちらつき頻度を超える場合は縞模様が不可視になることを確認した。輝度定義の縞模様を用いて同様の観察を行ったところ、いずれの条件でも可視性は保たれていた。別の実験においては、被験者に固視させながら、ランダム位置に呈示される輝度定義縞模様と突然フラッシュされる輝度定義縞模様とによって物理的ないし知覚的に成立する方位に対する順応効果が生じるか否かを検討し、順応時に画面上に出現する物理的な方位と反対方位に陰性残効が生じることを発見した。これらのことから、知覚過程や高次認知過程を媒介せずに網膜上の時間周波数や位置関係によって説明が可能な、被験者の可視性や順応特性について検討することができた。
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