2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20020009
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉内 友理子 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30251523)
|
Keywords | 前頭眼野 / smooth pursuit / 前庭入力 / 橋核 / 前庭神経核 |
Research Abstract |
前頭眼野近傍の領域から滑動性眼球運動を発現する出力経路を明らかにするため、この領域に順行性神経標識物質を注入し、その投射様式を解析した。その結果、カハル間質核(interstitial nucleus of Cajal, INC)、視蓋前域、Darkschewitsch核、小細胞性赤核、中脳網様体、橋被蓋網様核(nucleus reticularis tegmenti pontis, NRTP),橋核に同側優位の投射を、また前庭神経核、舌下神経前位核(nucl. prepositus hypoglossi, NPH)、延髄網様体に両側性の投射を認めた。橋核では、Kawanoにより解析された滑動性眼球運動関連領域であるMST領域が投射することで知られる背外側橋核への投射も認められたが、内側部(dorsomedial nucleus, paramedian nucleus)が主であった。前庭神経核への投射は、特に外側核腹側部(Brodal)に多かった。この弓状溝周囲領域から前庭神経核への投射は、前庭神経核に逆行性標識物質を注入後の皮質前庭神経核細胞の分布によっても裏付けられた。外直筋神経にWGA-HRPを注入し、transne uronalに標識された両側の前庭神経核ニューロンに、順行性に標識された皮質前庭神経核細胞の神経終末が結合している像が認められた。従って、FEFの滑動性眼球運動関連部位からの出力路を形成する可能性があるのは、(1)NRTP,橋核内側部を経て小脳に至る経路、(2)前庭神経核を介する経路(前庭動眼反射の経路に結合するもの、積分器に入力するもの)(3)積分器であるNPH,INCを介する経路が考えられた。(1)はKawanoらにより解析されたMST野からの背外側橋核,腹側労片葉,片葉を介する出力経路とは、明らかに異なる経路であると考えられた。
|