2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20020013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福山 秀直 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (90181297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 昭夫 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90212761)
三国 信啓 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60314217)
松本 理器 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378754)
松橋 眞生 京都大学, 医学研究科, 研究員 (40456885)
麻生 俊彦 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50397543)
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Keywords | 神経科学 / 磁気記録 / 脳・神経 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
平成20度の結果をもとに、非侵襲的手法を用いてヒトの行為・行動の脳内機構を調べた。まず、到達運動の開始に先行する脳活動を皮質脳波と同等の時間分解能を持つ脳磁図を用いて記録したが、皮質脳波でみられた活動を検出することができなかった。これには様々な理由が考えられたが、それを検証してさらに詳しく調べるために、機能的MRI(fMRI)の新しい手法として我々が開発を進めてきた拡散強調fMRI(DfMRI)を用いた記録を行った。 7人の健常被験者に対し、漢字による2-back working memory課題を実行中の脳活動をDfMRIと従来のBOLD法の両方で測定した。1Hzのペースで一個ずつ表示される漢字を刺激とし、被験者は、二つ前の刺激と同一の漢字が出てきた場合にボタン押しで応答する。画像の解析は従来法と同じく、各部位での信号の時間変化と、課題のタイミングとの関連を計算することで、賦活部位を決定した。 DfMRIは従来法(BOLD fMRI)と比べて、頭頂葉での信号の立ち上がりも常に早かった。また、DfMRIは課題の実行終了後の信号の降下も早かった。活動が検出された部位は概ね一致していたが、詳細にみると分布が異なっていた。以上は、DfMRIが従来法とは別の信号源を持ち、それは神経活動により近い現象であるという我々の仮説を支持する所見である。厳密には、血流によって生じるヘモグロビンの飽和度の変化はMR信号に影響しうるため、DfMRIにもBOLD効果が混入している可能性はある。しかし、DfMRIの主たる信号源は神経細胞またはグリア細胞で、電気活動に伴う細胞の微細な形態の変化を反映している可能性がある。 今後はこの手法を用いて複雑な運動の開始や維持に関わる脳活動を記録し、脳磁図による記録と共に統合的に解析して、神経機構の理解を深めることを試みる。
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Research Products
(27 results)