2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20020030
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
南部 篤 National Institute for Physiological Sciences, 統合生理研究系, 教授 (80180553)
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Keywords | 大脳基底核 / 随意運動 / 運動制御 / 淡蒼球 |
Research Abstract |
(1) 淡蒼球外節・内節の発射活動の制御と局所回路との関係を調べる目的で、淡蒼球外節・内節ニューロンの記録を行いながら、その近傍を電気刺激した。単発刺激では、淡蒼球外節は抑制+遅い興奮、淡蒼球内節は抑制のみを示した。また、度々、直接刺激の結果と思われる活動電位も記録できた。次に、連続刺激にすると、淡蒼球外節では抑制のあと興奮が増強したが、淡蒼球内節では自発発射活動が長く抑制された。淡蒼球外節での興奮の由来を調べる自的で、局所にNBQX+CPP(グルタミン酸受容体の拮抗薬)を注入すると、興奮は消失した。また、淡蒼球外節・内節での抑制の由来を調べるため、局所にgabazine(GABAA受容体の拮抗薬)を注入したところ、抑制が減弱した。これらの結果から、淡蒼球外節での興奮は視床下核由来のグルタミン酸作動性線維を刺激しているものであり、淡蒼球外節・内節での抑制は線条体あるいは淡蒼球外節由来のGABA作動性線維を刺激しているものと考えられた。これらのことから、淡蒼球外節と内節は、それぞれ異なった神経活動調節を受けていると考えられる。また、本結果は、淡蒼球脳深部刺激療法(GPi-DBS)の作用機序にも手がかりを与えるものである。 (2) DYT1ジストニア患者の原因遺伝子であるDYT1を組み込んだ遺伝子改変マウスから神経活動記録を行った。覚醒下で大脳基底核から神経活動を記録すると、淡蒼球外節・内節において、バースト発射やポーズ(休止期間)を伴う発射頻度の減少が見られた。大脳皮質運動野を電気刺激すると、淡蒼球外節・内節において、正常例においては観察されない早い興奮とそれに引き続く長い抑制という応答が観察された。次に、局所にgabazineを注入したが、自発発射や皮質由来の長い抑制に変化はなかった。これらのことから、長い抑制はGABA性の抑制が亢進したものではなく、淡蒼球外節・内節の活動性が変化した可能性が強い。
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Research Products
(22 results)