2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20020032
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
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Keywords | 新皮質 / 徐波 / FS細胞 / GABA / 抑制性介在ニューロン / スピンドル波 / ガンマ波 / 脱同期化 |
Research Abstract |
大脳新皮質ニューロンは睡眠中に脱分極のUp状態と過分極のDown状態を繰り返し、1ヘルツ以下の徐波と呼ばれるリズムで振動している。さらにUP状態には、視床由来の7から14ヘルツのスピンドル波と、皮質自身が作る30から80ヘルツのガンマ波がのっている。これらのリズム制御には皮質の抑制性介在ニューロンが重要な働きをすると考えられている。そこで、抑制性ニューロンで最も数が多いFS細胞で、徐波時に現れる3種類のリズムでの発火パターンを調べた。Upでの発火時期をみると、前半と後半のどちらかで発火しやすいFS細胞があることがわかった(EarlyとLate FS細胞)。Early FS細胞は脳波が徐波から脱同期化すると発火頻度が下がり、逆にLate FS細胞は脱同期化すると発火頻度が上がった。これからLate FS細胞は覚醒時の認知機能に重要な働きをするのではないかと考えられる。この二種類のFS細胞はUp上のスピンドル・ガンマ波の異なる位相で発火した。Early FS細胞はLate FS細胞よりスピンドル波に強くカップリングし、これら振動の早い位相で発火した。スピンドルとガンマでの発火しやすい位相の間には相関が見られた。これらの結果は、FS細胞ごとにUp状態での発火パターンが時空間的に厳密に決められており、最初スピンドル波で同期的に引き起こされた局所的なガンマ海がEarly FS細胞からLate FS細胞へ伝えられ、このガンマ波にのって情報が移動していく可能性を示唆している。
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