2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞集団による情報処理と行動選択の計算論的研究
Project/Area Number |
20020034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中原 裕之 The Institute of Physical and Chemical Research, 理論統合脳科学研究チーム, チームリーダー (10312282)
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Keywords | 神経科学 / 数理工学 / 統計数学 / 情報工学 / 人工知能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、神経細胞集団による情報処理、特に意思決定/運動制御に至るまでの行動選択の過程の計算論的解明である。これは、高次脳機能の解明の根本的課題の一つであり、理論的蓄積、特に実験と共同した理論研究の蓄積は、この課題解明には必要不可欠である。本申請の研究目的として、(I):多電極同時記録からの細胞集団の相互結合の推定、(II):細胞集団活動の相互作用に基づく意思決定と運動制御の二つがある。(I)は、「我々の開発した手法を使って新たな実験的知見に寄与すること」を目指していて、(II)では、ボトムアップ・トップダウンの両方のアプローチを用いながら、「報酬獲得における細胞集団の相互作用に基づく意思決定・運動制御の情報処理」の解明を目指している。本年度は、目的(I)では、vitroの多電極データを用いて、ベイズ定理を使った近似から、各々の細胞が属する集団間の相互作用から、神経細胞同士の相互作用が十分に記述できることを見出し、複数のデータへ適用することで、我々の推定した細胞集団の相互作用がどの程度の記述能力があるかを検証した。この研究をVivoのデータへの拡張を進め、かつ目的(II)の達成のために、実験研究者の協力をえて、社会的状況におけるサルの実験の多電極同時記録データを取得し、その基本的な解析を行い、学会発表を行った。目的(II)のトップダウンの研究においては、脳の時間を通常の時間とは独立に仮定することで、報酬獲得の意思決定における強化学習の新たな数理理論を提唱し、学会発表を行った。本研究は、申請者一人が推進する研究であり、本研究費によって、諸処の数理計算用のハード/ソフトの諸費用、マンパワーとしての研究補助などが得られていて、非常に有効に機能していることを述べておきたい。
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Research Products
(13 results)