2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20020037
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
中村 克樹 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所モデル動物開発部, 部長 (70243110)
|
Keywords | サル / 扁桃腺 / ニューロン / 情動 / 連合 / 多感覚 / 表情 / 音声 |
Research Abstract |
ヒトや他の霊長類は、表情・音声・ジェスチャーなどを用いて情動情報をやり取りしている。扁桃核は他種多様な情報を受け、多感覚情報を用いた情動情報のやり取りに重要な役割を果たしていると考えられる。これまでに扁桃核で発見した特定の表情と特定の音声いずれにも応答するニューロン活動は、多感覚情動情報に基づく適切な情動反応の生成に有用であると考えられる。このような応答が出来上がっていく過程を解明することを目的とした。 実験には3頭のサルの3種類の情動表出からなる9種類の情動刺激と4種類のコントロール刺激を用いた。いずれも1秒のビデオクリップである。1)ビデオ刺激の視覚成分(動画)のみ、聴覚成分(音声)のみしか受容していない時期、および2)視覚成分と聴覚成分を同時に提示し同時に受容することを数ヶ月以上経験した後の時期、で各々サル扁桃核からニューロン活動を記録・解析した。その結果、1)の視覚成分と聴覚成分を別々にしか受容していない時期には、特定の表情と特定の音声いずれにも応答するニューロン活動は情動刺激に応答したニューロン活動の5% (2/40)に過ぎなかったのに対し、2)の視覚成分と聴覚成分を同時に受容した経験の後ではその割合が20% (16/79)と有意に上昇した。このことから、特定の表情と特定の音声いずれにも応答するニューロン活動は視覚情報と聴覚情報を同時に受容する経験によって出来上がっていくということが示唆された。
|