2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20021001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中尾 光之 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20172265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪川 宏 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (30227467)
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Keywords | 海馬 / 樹状突起 / カナビノイド / 細胞内シグナル伝達 / カルシウム / DSI / 逆行性伝播 / 活動電位 |
Research Abstract |
これまで我々は、海馬CA1野錐体細胞ではNa+性活動電位が樹状突起へ逆行性伝播することにより内因性カナビノイドを介したDSIが誘発され得ること、活動電位の逆伝播特性を調節し得る細胞内シグナル伝達系の薬理学的活性化が、DSIの大きさ・長さ等を調節し得ること、DSIの大きさは樹状突起上の抑制性シナプス部位付近における逆伝播性活動電位の特性をよく反映しており、細胞内シグナル伝達を介して樹状突起の興奮性が調節されることによりDSIの発現領域が変化すること、等を示してきた。そこで本年度は、DSI誘発の引き金となる細胞内Ca^<2+>濃度上昇の主要なソースが、電位依存性Ca^<2+>チャネルを介するCa^<2+>流入、IP3受容体やリアノジン受容体を介する細胞内ストアからの放出のいずれ(あるいは両方)なのか検討した。その結果、興奮性入力を遮断した条件下で、軸策の頻回刺激による活動電位の後に観察されるDSIの諸特性に対しては、細胞内Ca^<2+>ストア機能の薬理学的な抑制は無効であった。従って、細胞内ストアからのCa^<2+>放出は、活動電位の逆伝播によるDSIの発現に必要不可欠ではないと考えられる。一方、興奮性シナプス入力の頻回刺激による活動電位の後に観察されるDSIは、代謝型グルタミン酸受容体の阻害により減弱する場合が見られた。以上の結果から、生理的条件における活動電位の逆伝播によるDSIには、電位依存性Ca^<2+>チャネルを介するCa^<2+>流入と細胞内ストアからの放出の両方が関与し得ると考えられた。
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