2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20021003
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安田 浩樹 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60294071)
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Keywords | 視覚野 / 内因性カンナビノイド / 異シナプス性長期抑圧 / シナプス可塑性 / BDNF |
Research Abstract |
大脳皮質一次視覚野の眼優位性カラムでは、左右眼のうちどちらかからの視覚入力により応答する。しかし臨界期に片眼からの入力を遮断した場合、開眼側からの入力に優位に応答するように変化する(眼優位性のシフト)。このような活動に依存した神経回路の改変には、シナプス可塑性メカニズムが関与していると考えられている。私達はこれに関連して、視覚野シナプス伝達の長期増強に伴う「異シナプス性長期抑圧」に注目した。スライス標本を用いた電気生理学的な実験系において、一つの神経細胞から二つの入力からのシナプス応答を記録し、一つの入力には高頻度刺激を与えて長期増強を誘発する。すると入力を受けない別のシナプスでは、シナプス応答が減弱して長期抑圧が生じる。スライスにおける高頻度刺激側がin vivoにおける開眼側、刺激を受けない側が閉眼側の入力を模しており、片眼遮蔽による眼優位性シフトのスライスモデルであると考えられる。生後7-41日のマウス大脳皮質視覚野からスライス標本を作製し、IV層からII/III層錐体細胞への2つの独立した入力を電気刺激した。一方の入力にシータバースト刺激を行うと、入力を受けたシナプスでは長期増強が誘発されると同時に、入力を受けないシナプスには異シナプス性長期抑圧が観察された。発達期視覚野IV層→II/II層で見られる異シナプス性長期抑圧は、(1)幼若なほど大きく、発達に,れて減弱して生後35目以降では見られない、(2)カンナビノイド受容体によって誘発され、シナプス前性に発現する、(3)5型代謝型グルタミン酸の活性化が必要である、(4)BDNFによって阻害されることを見いだした。
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