2008 Fiscal Year Annual Research Report
デルタ2グルタミン酸受容体のNTDを介する新しい活性化様式の解明
Project/Area Number |
20021004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平井 宏和 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70291086)
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Keywords | プルキンエ細胞 / グルタミン酸受容体 / トランスジェニックマウス / デルタ2 / 小脳 |
Research Abstract |
イオン透過性グルタミン酸受容体(iGluRs)は、AMPA型、NMDA型及びカイニン酸型に分類される。これらはすべて共通する膜トポロジー、すなわち、3つの膜貫通領域(TM1, TM3, TM4)とイオンチャネルポアを形成する細胞膜内領域、細胞外N末端ドメイン(NTD)、リガンド結合S1S2ドメイン及び細胞内C末端ドメインを(CTD)もつ。 デルタ2グルタミン酸受容体(GluRδ2)はアミノ酸配列の相同性からイオンiGluRに分類されるが、そのリガンドは不明でイオンチャネルとして働いているのかもわかっていない。しかしGluRδ2を欠損するマウスは顕著な小脳失調を示すことから、小脳機能に極めて重要であることは間違いない。本研究では、GluRδ2のNTDがGluRδ2機能に対して何らかの特異的な役割をもっているのかを明らかにすることを目的とした。 我々は、NTDとTM4だけからなるシンプルなコンストラクト(NTD-TM4)を作成した。このコンストラクトはCTDがないためシナプス後部へ輸送されない可能性がある。そこでさらに、NTD-TM4-CTDを作成した。これらのコンストラクトをレンチウイルスベクターを用いて生後5日〜6日のGluRδ2欠損マウスのプルキンエ細胞に発現させ、GluRδ2のNTDの役割について検討した。その結果、マウスでも小脳失調の優位な回復が認められた。最も回復したのはNTD-TM4-CTDで、次にNTD-TM4であった。以上より、NTDのみでGluRδ2機能を、少なくともある一定レベルは果たし得ることが明らかとなった。この結果は、GluRδ2のリガンド同定及び細胞内シグナル伝達経路を考える上で極めて重要な成果であると考えられる。
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Research Products
(6 results)