2008 Fiscal Year Annual Research Report
水平眼球運動系の速度-位置変換に関わる神経積分機構の解明
Project/Area Number |
20021005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 康彦 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70290913)
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Keywords | 舌下神経前位核 / ニューロン / 神経回路 / グルタミン酸受容体 / シナプス後電流 / 神経積分器 / パッチクランプ / 脳スライス |
Research Abstract |
眼球運動遂行時に、外眼筋運動ニューロンへ直接投射し眼球運動の発現に関与する脳幹ニューロンは、眼球速度に比例したバースト活動を示すが、一方で、外眼筋を支配する運動ニューロンは、バースト活動に加え眼球位置に比例した持続的(トニック)な活動を示す。従って、脳幹ニューロンから運動ニューロンの間で速度信号から位置信号へ変換する機構が必要となり、この機構は舌下神経前位核(prepositus hypoglossi nucleus, PHN)が担っていることが示唆されている。本研究では、PHNにおけるトニック活動の生成機構を調べることを目的としている。生後約3週齢のラットから脳幹スライス標本を作製し、PHNニューロンからホールセル記録を行い、抑制性神経伝達を遮断した状態で、記録しているニューロンの近傍に微小ガラス管により100Hzの刺激(バースト刺激)を与えたところ、自発性の内向き電流の頻度の増加が観察された。この自発性電流は、テトロドトキシン(0.25μM)投与により消失し、また、グルタミン酸受容体のアンタゴニストであるNBQX(20μM)とAPV(50μM)を投与しても消失したことから、PHN内の神経回路の活性化によって生じたグルタミン酸作動性シナプス電流であることが示された。バースト刺激によって生じるシナプス電流は、NBQXの代わりにカルシウム透過型AMPA受容体のブロッカーであるNaspm(100μM)の投与によっても大きく減少した。以上の結果から、PHN内の神経回路では、カルシウム透過型AMPA受容体の活性化によるシナプス伝達が行われ、この伝達がPHNニューロンでのトニックな活動に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)