2008 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプス伝達抑制機構の光学的測定法を用いた解析
Project/Area Number |
20021010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関野 祐子 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (70138866)
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Keywords | 光学測定法 / NMDA受容体 / アデノシン受容体 / 膜電位感受性色素 |
Research Abstract |
アデノシンは細胞間隙に存在し神経活動を抑制する神経調節因子である。アデノシンA1受容体(ADAIR)は脳全体に広範囲に分布しており、神経細胞死にたいする保護作用が注目されている。申請者は、組織化学的研究結果から、海馬CA2領域にADAIRの発現が強いことを明らかにした。また昨年、ラット海馬CA2領域ではLTPが誘導されないことが明らかになった。これらのことからシナプス後部に分布するADAIRがNMDA受容体(NMDAR)からのカルシウム流入を制御してしる可能性が示唆されるが、これまでNMDARとの直接の相互作用は明らかにされていない。そこで本研究では、シナプス後部ADAIRによるNMDAR機能修飾を検証することを目的とした。 マウスから作成した海馬スライス標本(CA3-CA1間切断)で、ピクロトキシン存在下でSchaffer-CA1間の興奮性シナプス応答のANPA受容体電流(AMPAR-EPSC)とNMDA受容体電流(NMDAR-EPSC)をCA1錐体細胞のホールセルパッチクランプ法により測定した。ADA1R拮抗薬は、AMPAR-EPSCの振幅を増大したが減衰時間には影響を与えなかったがNMDAR-EPSCについては振幅を増大するだけではなく減衰時間も増加させた。このことはADAIRの阻害により単にグルタミン酸の放出が促進されただけではなく、ADA1RによるNMDAR機能修飾が存在する可能性が示唆された。ADA1Rノックアウトマウス海馬スライスで、まずCA3からCA1へ至る海馬内神経興奮伝播を光学測定法により調べたところ、CA1における脱分極性光学応答の振幅と持続時間が野生型マウスに比べて著しく長いことがわかった。
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Research Products
(3 results)