2009 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドニューロンによる神経回路機能修飾の分子・細胞メカニズム
Project/Area Number |
20021012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 良隆 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (70143360)
|
Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / 神経修飾 / 生理活性 / ペプチド / GnRH / キスペプチン |
Research Abstract |
メダカにおいて、既に報告した遺伝子kiss1のほかに、そのパラログとみなしうる遺伝子kiss2を発見したので、両者の生殖中枢制御機能について解析した。まず各種脊椎動物のゲノムデータベースを検索し、系統発生的な考察を加えたところ、脊椎動物進化の初期にすでに2種類のキスペプチンが存在したことが明らかとなった。魚類でもミドリフグなどではゲノム中にkiss1が見出されず、kiss2のみが確認された。そこで、kiss2が生殖調節に関与している可能性についてkiss1と比較しつつ解析した。in situ hybridization法により繁殖・非繁殖状態でmRNA量を解析したところ、両者は異なる神経細胞集団に存在しており、kiss1は繁殖状態で発現が高く非繁殖状態で低いのに対してkiss2の発現には有意な変動は検出されなかった。また、メスのkiss1遺伝子発現は卵巣除去により強く抑制を受けるがkiss2遺伝子発現は全く影響を受けなかった。さらに、kiss1ニューロンはエストロゲン受容体α(ERα)を発現するが、kiss2ニューロンは発現しないことが分かった。これらのことから、メダカではkiss1のみが性ステロイドに感受性をもち生殖調節に関与しているがkiss2は生殖以外の新たな機能を進化の途上で獲得したのではないか、と結論付けられた。 一方で、3種類全てのGnRHニューロンについて、それぞれがGFP標識されたトランスジェニックメダカを用いて電気生理学的解析を行ったところ、下垂体刺激ホルモンとしてはたらくGnRH1ニューロンと脳内で神経修飾作用をもつGnRH2, GnRH3ニューロンでは電気活動パターンが異なることがわかった。
|
Research Products
(19 results)
-
[Journal Article] Regular pacemaker activity characterizes GnRH 2 neurons recorded from GFP-transgenic medaka2010
Author(s)
Kanda, S., Nishikawa, K., Karigo, T., Okubo, K., Isomae, S, Abe, H., Kobayashi, D., Oka, Y.
-
Journal Title
Endocrinology 151
Pages: 695-701
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Journal Article] Possible role of oestrogen in pubertal increase of Kissl/Kisspeptin expression in discrete hypothalamic areas of female rats2009
Author(s)
Takase, K., Uenoyama, Y., Inoue, N., Matsui, H., Yamada, S., Shimizu, M., Homma, T., Tomikawa, J., Kanda, S., Matsumoto, H., Oka, Y., Tsukamura, H., Maeda, K.-I.
-
Journal Title
Journal of Neuroendocrinology 21
Pages: 527-537
Peer Reviewed
-
-
[Presentation] Kisspeptin neurons act closely but indirectly on GnRH 1 neuronsvia local interneurons but not on GnRH 2 or 3 neurons in medaka2009
Author(s)
Kanda, S., Akazome, Y., Okubo, K., Okamura, H., Oka, Y.
Organizer
The 39th Annual Meeting of the Society for Neuroscience 2009
Place of Presentation
Chicago, U.S.A.
Year and Date
20091017-20091021
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-