2008 Fiscal Year Annual Research Report
ムスカリン性アセチルコリン受容体を介するシグナルの多様性および相互依存性の解析
Project/Area Number |
20021014
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 Kanazawa University, 保健学系, 教授 (60179025)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 脳・神経 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
アセチルコリンの多様な作用の分子メカニズムを明らかにすることを目指し、ラット培養海馬ニューロンの膜電位および膜電流に対するムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(oxo-M)の効果を調べた。静止膜電位に対する効果としては、脱分極応答、過分極応答、両者の混合型、の3つのパターンが観察された。膜電位固定法でこれらの膜電位変化のメカニズムを調べたところ、脱分極応答については(1) 非選択性陽イオンチャネルの活性化と(2) K^+チャネルの抑制が、過分極応答については(3) K^+チャネルの活性化、が関与することが示唆された。前二者の性質は以下の通りである。 1) 非選択性陽イオンチャネルの活性化 : 約1/3のニューロンでは、3μM oxo-Mを投与すると-100mV(K^+の平衡電位)で内向き電流が一過性に誘発された。この効果はコンダクタンスの上昇を伴い、Ca^<2+>-free外液中で細胞内Ca^<2+>濃度依存性を示し、PLC阻害剤の前処理により抑制された。 2) K^+チャネルの抑制 : 非選択性陽イオンチャネルの活性化が見られなかったニューロンを用い、-40mVで外向きK^+電流を測定したところ、ほとんどのニューロンでは3μM oxo-MでK^+電流の減少が観察された。この効果はコンダクタンスの減少を伴い、細胞内Ca^<2+>濃度依存性を示し、PLC阻害剤の前処理により抑制された。oxo-M効果の大きさは細胞により大きくばらつくが、M電流阻害剤であるXE991の効果との間に相関が見られた。 以上より、M_1/M_3受容体の活性化によりCa^<2+>濃度依存的にPLCβが刺激され、非選択性陽イオンチャネルの活性化とM電流を含む複数のタイプのK^+チャネルの抑制が起こると考えられた。
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Research Products
(1 results)