2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20021016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 卓樹 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70311751)
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Keywords | 大脳皮質 / 発生 / 神経前駆細胞 / 細胞分化 / 細胞移動 / 層形成 / 回路形成 / 培養 |
Research Abstract |
大脳皮質における神経回路の形成過程について研究することは,成体の脳活動の原理を知るため,てんかんなどの疾患の病因の理解のために重要であり,かつ,胎生期また出生後の児の生育が組織構築にどう影響するかを知るためにも重要である.大脳皮質ニューロンには役割の違う複数種のニューロンが存在するが,脳幹や脊髄など遠隔地へ投射するニューロンについては,発生と回路形成の機構についての研究がこれまで手薄であった.本研究ではその問題に取り組み,21年度は2つの項目について以下のような成果を得た. (1) 大脳皮質の作り主である神経前駆細胞の核移動にRacが関与していることが分かった.前駆細胞は細胞周期進行に随伴して核を移動させることが知られているがその機構はまだよく分かってはいなかった.本研究によって,その一端が明らかになった.今後,核移動の原理をさらに詳しく調べるうえで,また,細胞間相互作用の具体的な様子・意義を研究するための足場を築くことができた.この成果は論文発表した. (2) ニューロンが移動をどのように終え,層を築くのか,移動と配置の移行の局面についてこれまでほとんど分かっていなかったが,本研究でのライブ観察によって,活発な形態変化と極性化を通じてこの局面が営まれていることが分かってきた.これまで三次元的には捉えにくかった樹状突起および軸索の形成過程も観察できるようになった.この成果は,海外のものを含むいくつかの学会で発表し,論文作成中である. また,ドイツのグループとの共同研究により,大脳発生に関する論文発表に至った.
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Research Products
(13 results)