2008 Fiscal Year Annual Research Report
慢性痛による扁桃体中心核シナプス可塑性固定化機構の解明
Project/Area Number |
20021026
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 総夫 Jikei University School of Medicine, 医学部, 教授 (20169519)
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Keywords | 痛み / 扁桃体 / 情動 / 神経障害性疼痛 / シナプス伝達 / 神経科学 / 神経可塑性 / 慢性痛 |
Research Abstract |
痛み入力と情動応答を媒介する扁桃体中心核内の神経回路が慢性痛において示す可塑的変化とその成立機構の解明を目的とした。麻酔下にWistarラット左腰髄第5脊髄神経を結紮し術後7日後に脳スライスを作成し、腕傍核由来上行線維刺激によって誘発されるシナプス後電流(EPSC)を扁桃体中心核外側外包核CeLCニューロンから記録した。(1)振幅、振幅分散およびpaired-pulseratio(PPR)、(2)Sr2+存在下に観察される非同期的EPSC振幅の解析による単小胞性EPSC振幅、(3)多線維・多小胞性EPSCを構成する小胞数、ならびに(4)θピペットを用いたminimal刺激による単線維EPSC振幅を左右CeLCで比較した。右CeLCニューロンにおいて(1)単線維性EPSCの振幅は、対側に比し有意に高値を示し、Sr2+の投与によってより振幅の小さい単線維性EPSCが発現した、(2)1mA刺激時の多線維・多小胞性EPSCを構成する推定小胞数は対側のそれよりも著明かつ有意に高値を示した(右, 約53小胞 ; 左, 約20小胞)、(3)単小胞性EPSC振幅は、左CeLCよりもわずかにしかし有意に高値を示したが、その差異は、多線維・多小胞性EPSCの著明かつ有意な差異を説明するのに十分ではなかった、そして、(4)振幅およびその分散のCa2+依存性ならびにPPRおよびそのCa2+依存性に左右間の有意な差異は認められなかった。慢性神経因性疼痛において患側対側CeLCで特異的に形成される興奮性シナプス伝達の増強は、腕傍核由来単線維終末から1活動電位によって同期的に放出される小胞数の増大とそれに呼応したシナプス後膜AMPA受容体の増加というシナプス前・後の変化を伴う変化によって成立すると結論した。
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