2008 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質局所神経回路の要素の形態特性とダイナミクス解析
Project/Area Number |
20021030
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
窪田 芳之 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 准教授 (90192567)
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Keywords | シナプス / 3次元再構築 / 非錐体細胞 / GABA / 大脳皮質 / 樹状突起 / シナプス入力の統合 / Rall model |
Research Abstract |
前年度に行ったラットの大脳皮質を使った電気生理スライス実験から、単一の非錐体細胞の樹状突起の形態面の分岐特性を把握している。その形態特性を正確に反映したシミュレーション用のコンピュテーション非錐体神経細胞を、シュミレーションソフト「Neuron」で作製した。それを使ってシミュレーション実験を行い、シナプス入力後のepspの樹状突起にそった減衰率(電流減衰、amplitude peakの減衰、rise time decay等)を測定した。その結果、シナプスが細胞体から200μm以上離れている樹状突起上にある場合は、どの分岐にあったとしても、細胞体で観察されるepsp反応のピークはほぼ一定であった。また、シナプスが細胞体から200μm以内に存在する場合は、細胞体で観察されるepsp反応は、遠方のシナプスと比較して2倍-3倍以下である事がわかった。このことから、同じ細胞の全ての樹状突起上に入力するシナプスは、細胞体の近傍の太い所を除いて、シナプスの入力位置に関わらず、どのシナプスでも、ほぼ同じ力量を持っている事が想像される。次に、epspが刺激位置から細胞体に伝導する際の減衰に関して、詳細を追ってみた。その結果、減衰が起きる原因が2つある事がわかった。一つは細胞内の抵抗、2つ自は刺激位置や分岐部分で遠位方向へ逃げる電流である。また、epscが細胞に伝導される効率は、50-95%程度である事がわかった。枝分かれの多いブランチ程悪く、枝分かれが少ないブランチ程良い事がわかった。以上の結果は、神経細胞の基本的な樹状突起の特性を示すものであり、シナプス信号の統合を理解する上で重要な情報であると考えている。
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