2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20021031
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 剛 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40370134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井本 敬二 生理学研究所, 生体情報研究系, 教授 (00176512)
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Keywords | 視床-大脳皮質 / 神経回路 / シナプス統合 / シナプス配線 / ダイナミッククランプ / 神経修飾物質 |
Research Abstract |
本研究課題では、スライスパッチクランプ法にダイナミッククランプ法を組み合わせることにより「ハイブリッド神経回路」を構築し、この手法を用いて視床-大脳皮質神経回路の動作挙動について調べた。二つの視床リレー細胞から大脳皮質4層主要細胞(Regular Spiking細胞)へのシナプス統合を調べた結果、この視床-大脳皮質神経経路には三種類のシナプス統合が存在すること、またこれらのシナプス統合が神経修飾物質(ノルエピネフリン、アデノシン)によってスイッチされることも明らかにした。すなわち、神経修飾物質は局所神経回路レベルにおいて「タイミングスイッチ」として働いている。 次に、局所神経回路レベルにおけるタイミングスイッチが、細胞・シナプスレベルでどのように制御されているのか、そのメカニズムに関して電気生理学的手法を用いて検討した。対象の局所神経回路上のFast-Spiking(FS)細胞に着目した結果、ノルエピネフリンはFS細胞を脱分極させるが、FS細胞における視床由来のシナプス電位にはほとんど影響を与えなかった。一方で、アデノシンはFS細胞の膜電位をほとんど変化させないが、FS細胞にける視床由来のシナプス電位の振幅を顕著に小さくすることが明らかとなった。最後にネットワークシミュレーションを用いた研究によって、上記の細胞・シナプスレベルの変化のみで、局所神経回路レベルの現象であるタイミングスイッチが説明可能であることも明らかとなった。すなわち、電気生理学的アプローチ・コンピュータシミュレーション・およびその融合型アプローチ(ハイブリッド神経回路)を用いることにより、「抑制回路状態に依存したシナプス統合」の存在と、その細胞・シナプスメカニズムについて明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)