2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン新生を調節するプロスタグランジJ2の新規標的タンパク質の解析
Project/Area Number |
20022002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
守屋 孝洋 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80298207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 則道 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (60045804)
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Keywords | 神経幹細胞 / ニューロン新生 / 海馬歯状回 / プロスタグランジンJ_2 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
「研究の目的」 本研究の目的は、神経幹細胞における15-deoxy-プロスタグランジンJ_2(15d-PGJ_2)の新規標的タンパク質を特定することにより、成体脳のニューロン新生に対する15d-PGJ_2の調節機構を解明し、神経幹細胞の運命決定に関与する新たな分子基盤を見出すことである。平成21年度では特に内因性神経幹細胞に対する15d-PGJ_2の作用とその作用におけるメカニズムの解明を、主にin vivoの実験により明らかにする。 「研究実施計画」 本年度の研究により、高濃度(1~10microM)の15d-PGJ_2は細胞内グルタチオン濃度を減少させ、細胞内ROSを上昇させたが、低濃度の15d-PGJ_2(0.1~0.3microM)グルタチオン濃度に影響することなく、ROSレベルを上昇させた。また、成体マウス海馬の神経幹細胞の効果を調べたところ、15d-PGJ_2の脳室内投与は低用量(1ng/3microL)で増殖の促進を、また高濃度(30ng/3microL)で増殖を抑制し、これらの作用は15d-PGJ_2投与の24時間後に顕著に観察されたが、5時間後では観察されなかった。本研究の結果から、PGD_2代謝物である15d-PGJ_2の神経幹細胞の増殖能に対する二相性の効果は、培養系だけでなく、in vivoの系においても観察された。また培養系の実験から、15d-PGJ_2による自己複製能抑制作用は細胞内グルタチオンなどの求核性物質と共有結合し、細胞内グルタチオン量の低下による細胞内ROSレベルの上昇を介して惹起されている可能性が考えられた。一方、低濃度の15d-PGJ_2は、神経幹細胞内のグルタチオンおよびROS非依存的に作用していることが示唆された。
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