2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20022014
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高森 茂雄 Tokyo Medical and Dental University, 脳統合機能研究センター, 准教授 (10397002)
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Keywords | 脳・神経 / 蛋白質 / 神経科学 / 分子認識 / シナプス |
Research Abstract |
神経間のシグナル伝達は、神経終末からの神経伝達物質の放出によって喚起される。神経活動電位が神経終末に到達すると、電位依存性カルシウムチャネルが開口し、細胞内カルシウム濃度が一過性に上昇する。神経伝達物質を含むシナプス小胞膜と形質膜の融合により神経伝達物質を細胞外に放出するが、この過程はカルシウム濃度に強く依存していることが知られている。一方、形質膜に融合した小胞膜成分は、エンドサイトーシスにより再び細胞質に再合成されるが、この過程に対するカルシウムの影響は、あまり理解が進んでいない。我々は、エンドサイトーシス関連蛋白質複合体の解析を行う過程で、哺乳類の3つのエンドフィリン・イソ型の内、エンドフィリン2のみがカルシウム依存的な分子構造変化を示し、カルシウムイオン存在下では、他のタンパク質との結合能力を失うことを突き止めた。本研究計画では、1種類のエンドフィリン分子しか持たない線虫・ショウジョウバエと哺乳類のエンドフィリン各イソ型の分子性状と比較することにより、シナプス小胞のエンドサイトーシス分子機構の生物進化を明らかにすることを目的としている。本年度は、以下の研究結果を得た。 (1) ショウジョウバエのエンドフィリンはカルシウム感受性を持たないエンドフィリン1/3型である。 (2) 哺乳類の3つのエンドフィリンは、神経細胞内で異なる分布を示す。細胞内分布のイソ型間での違いがカルシウム感受性に起因するか否かは、今後の研究課題である。 (3) カルシウム存在/非存在下でのエンドフィリン1/2の構造変化をNMRにより解析したところ、エンドフィリン2でのみ、カルシウム依存的な構造変化を示唆するシグナルの変化が観察された。
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