2009 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の経験依存的発達におけるNR2B-NMDA受容体の役割
Project/Area Number |
20022017
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
吉村 由美子 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (10291907)
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Keywords | 大脳皮質 / 視覚野 / NMDA受容体 / 眼優位可塑性 / 感受性期 / 発達 / ラット |
Research Abstract |
大脳皮質の経験依存的発達にNR2B-NMDA受容体が関与するかについて、視覚野の眼優位可塑性をモデルに検討した。感受性期にある生後25、26日齢のLong-Evansラットの片眼を6日間遮蔽した。実験群では片眼遮蔽中に、浸透圧ミニポンプを用いてNR2B-NMDA受容体阻害剤のRo25-6981を視覚野内に持続投与した。眼優位性を調べるために、ウレタン麻酔下のラット視覚野の両眼投射領域より視覚誘発電位(VEP)を記録した。視覚刺激を左右それぞれの眼に150-200回与え、そのVEPの平均振幅を測定した。コントロールのラット視覚野においては、これまでの報告結果と同様に、記録している視覚野に対して対側の眼を刺激した時のVEPの振幅は、同側眼刺激によるVEPと比べて2倍程度大きかった。対側眼を6日間片眼遮蔽した後VEPを記録すると、遮蔽眼刺激によるVEPは減弱し、非遮蔽眼刺激によるVEPは増大した。NR2B-NMDA受容体阻害剤を投与した実験群では、コントロール群と同様に眼優位シフトが誘導された。以上の結果は、視覚野のNR2B-NMDA受容体を遮断しても、眼優位可塑性は阻害されないことを示す。本課題により昨年度行った、視覚野スライス標本を用いた研究では、NR2B-NMDA受容体を介する成分やサイレントシナプスの機能化が最も顕著な時期は、眼優位可塑性の感受性期より早いことを見出した。従って、NR2B-NMDA受容体は、網膜地図の形成など視覚機能発達の中でもかなり初期に進む機能に関与している可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)