2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20022018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 裕教 Kyoto University, 生命科学研究科, 准教授 (50303847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 脳・神経 |
Research Abstract |
神経回路は、特異的な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。軸索は様々な軸索ガイダンス分子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到達し、複雑な神経回路を形成する。セマフォリンは代表的な軸索ガイダンス分子であり、様々な神経軸索に対し反発作用を引き起こすが、その反発作用の分子機構はあまりよくわかっていなかった。Plexinは神経軸索ガイダンス分子、セマフォリンの受容体であり、我々はこれまでに、Semaphorin 4D(Sema4D)受容体のPlexin-B1がR-Rasに対するGAP活性を有し、その活性が海馬の神経細胞におけるSema4Dによる軸索の成長円錐の崩壊に必須であることを見出した。Plexinは、Plexin-A、Plexin-B、Plexin-C、Plexin-Dの4つのクラスで構成されているが、今年度はこのなかで、Plexin-C1とPlexin-D1についてR-Rasに対するGAP活性を有するかどうか検討してみた。その結果、Plexin-D1は、細胞内でRndサブファミリーの中でRnd2と特異的に結合し、Rnd2依存的にR-Ras GAP活性を示した。一方で、Plexin-C1は、Rndと無関係にR-Ras GAP活性を示し、Rndの有無はR-Ras GAP活性に影響を与えなかった。またPlexin-C1は、Rndと無関係に細胞内領域のN末端側とC末端側が解離していること、一方Plexin-D1は、Rnd2の結合により細胞内領域のN末端側とC末端側の結合が解離することを見いだした。これまでの報告から大脳皮質神経細胞において、Plexin-D1はリガンドであるSema3Eによって神経軸索の伸長を阻害することが示されている。我々はこのPlexin-D1による軸索伸長の阻害にRnd2が必須であり、R-Rasの低下によって神経軸索の伸長が阻害されていることを明らかにした。以上の結果から、Plexin-C1はRndと無関係に、Plexin-D1はRnd2依存的にR-Ras GAPとして働くことを見いだし、R-Ras活性の抑制がPlexinに共通の働きである一方、その制御は、Plexinのサブファミリーによって異なることを明らかにした。
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