2008 Fiscal Year Annual Research Report
モルフォゲンの濃度勾配ロバストネス保証および分化運命決定における閾値の分子機構
Project/Area Number |
20022020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石橋 誠 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (30232341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
三浦 岳 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10324617)
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Keywords | モルフォゲン / 位置情報 / 濃度勾配 / ロバストネト / 閾値 |
Research Abstract |
モルフォゲン濃度勾配のロバストネスの実験的検証モルフォゲン濃度勾配形成のロバストネスに関しては、Elderらの提唱した数理モデルがあるが、Shhについてこのモデルの検証を行った。このモデルはShhの産生が多く、且つ分解が非線形の場合を想定している。実際に比較する領域としては、剖出の際に領域を個体間の差なくきちんと定義しやすい肢芽と肺を用いる。まず、Shhノックアウトマウスのヘテロ接合体と野生型において、Shh産生量に違いがあるのか定量的RT-PCR、ウェスタンブロット、ELlSAを行ったところ、いずれの場合においてもヘテロ接合体でShh量は半減していた。これはElderらのモデルと整合性がない。しかしながら、詳細な検討の結果、測定しているSHHタンパクは細胞内の前駆体であり、実際に機能している細胞外タンパクは検出できていなかった。現在行っている免疫組織化学の手法では、細胞外に放出されたシグナル因子が固定の段階でうまく周辺の構造にトラップされず、Shhの産生細胞内のタンパクは検出できても濃度勾配は検出されない。拡散しているタンパク分子を固定して可視化する方法を開発すべく条件検討を行っている。この染色強度により濃度勾配を定量する予定である。上記研究から、濃度勾配ロバストネスの強い部位と弱い部位を予測する。 分化運命決定における閾値の分子機構の解明 神経管腹側半分のニューロンの種類の決定は、脊索・底板から発せられるShhの濃度勾配によって決まる。ニューロンの分化運命はShh標的遺伝子の2値的挙動によって決まる。この離散的パラメータへの変換についてはエンハンサー領域を介したフィードバック機構が大切であるとSchafferらのグループは数理生物学的に予想している。そこで本課題においてはShh標的遺伝子Gli1エンハンサー領域におけるGli結合部位の個数を増やしてこのポジティブフィードバックを「強化」することを試みた。この効果をルシフェラーゼアッセイにて確認した後に改変エンハンサーをノックインしたマウスを作成、解析したところ、Gliの発現量や範囲に変化が見られた。現在詳細な解析を行っている。
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Research Products
(8 results)