2008 Fiscal Year Annual Research Report
Tsukushiによる神経幹細胞の未分化性維持機構
Project/Area Number |
20022033
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
太田 訓正 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (90244128)
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Keywords | Tsukushi / 幹細胞 / 網膜 / Wntシグナル |
Research Abstract |
中枢神経系の一部である眼において、網膜で唯一のグリア細胞であるMuller細胞と毛様体、網膜辺縁部、光彩、角膜の4ヵ所に局在する細胞が網膜幹/前駆細胞として機能できることが知られている。Tsukushiはこれらの細胞と隣接して発現することから、Tsukushiが網膜幹/前駆細胞に対して機能的に作用していることが示唆されていた。私達は、TsukushiがWnt受容体Frizzled4に直接結合する新たなWntシグナルの阻害因子として、網膜幹細胞をそのままの状態に保持するニッチ分子として機能することを明らかにした。これらの結果は投稿中である。 私達の次の問題は、Tsukushiの脳神経幹細胞に対してどのような作用を持つかということである。脳神経幹細胞は、脳室に局在していることがよく知られているが、Tsukushiはこの領域に発現しており、マーカー分子を用いた免疫組織染色から、Tsukushiは脳室表面に存在する上衣細胞に発現していることが分かった。次に、Tsukushi遺伝子欠損マウスの脳切片を作製し、観察を行ったところ、Tsukushi遺伝子欠損マウスでは、脳室が野生型と比べて約10倍拡張していた。 さらに私達はTsukushi遺伝子欠損マウスにおいて、左右の脳を繋ぐ前交連線維束がP5から徐々に細くなり、成体脳では完全に欠失していることを見出した。Tsukushiは前交連線維束の細胞体が位置する領域に発現していることから、Tsukushiが栄養因子のような役割を持ち、前交連線維の維持等に関わっている可能性を検討している。
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Research Products
(5 results)