2009 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起間の反発作用に基づく受容領域の自己組織化に関する研究
Project/Area Number |
20022041
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
榎本 和生 National Institute of Genetics, 新分野創造センター, 准教授 (80300953)
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Keywords | 樹状突起 / 受容領域 / リン酸化シグナル / ショウジョウバエ / リモデリング |
Research Abstract |
ショウジョウバエ末梢神経系をモデルとして、同種の樹状突起間に生じる反発シグナルを制御する遺伝子群の探索を行い、TORC2複合体を同定した。TORC2複合体は、TORキナーゼを中心とする5因子(現在同定されている限りにおいて)により構成される複合体であり、アクチン骨格系の制御に関与することが報告されていたが、神経機能は全く不明であった。さらなる遺伝学的解析から、TORC2が感覚ニューロン内において細胞自律的に働くことを示した。続いて、生化学的解析から、TORC2がTrcキナーゼのThr449のリン酸化を促進することにより、突起間に生じる反発シグナルを正に制御することを示した。Trcキナーゼは、樹状突起の反発運動に必須の因子として、我々が以前に同定していたものである(Emoto et al.2004)。 一方、TORキナーゼは、異なる因子群とともにTORC1複合体を形成し、細胞の増殖制御を行うことが知られている。そこで、感覚ニューロンにおけるTORC1の機能を解析したところ、樹状突起の伸長・分岐を正に制御することが分かった。したがって、TORキナーゼは、TORC1とTORC2という異なる複合体の形成を介して、樹状突起の伸長・分岐と反発運動という異なる局面を制御することが示唆された。今後、ニューロン内において、TORC1とTORC2のクロストークがどのように行われているのかを解明する必要がある。
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