2008 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子解析によって同定した網膜視細胞形成に関わる遺伝子群の解析
Project/Area Number |
20022045
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
古川 貴久 Osaka Bioscience Institute, 発生生物学部門, 研究部長 (50260609)
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Keywords | 発生・分化 / 神経科学 / 遺伝子 / 脳神経疾患 / 再生医学 |
Research Abstract |
我々は網膜視細胞の発生、特に細胞運命決定、細胞形態形成、シナプス形成のメカニズムの解明を目指している。我々は、細胞外マトリックス蛋白質をコードする新規遺伝子ピカチュリン(pikachurin)を同定し生体レベルでの機能解析を行った。ピカチュリンは視細胞と双極細胞のシナプス間隙に局在し、ピカチュリンノックアウトマウスでは視細胞-双極細胞の特異的シナプス形成がおこらず、シナプス伝達が正常の3倍に遅くなることを見出した。また、ピカチュリンノックアウトマウスでは動く物に対する空間分解能が低下していることを示した。さらに、我々はピカチュリンがジストログリカン(Dystroglycan)の新たなリガンドであることを示した。これらの結果から、ピカチュリンとジストログリカンの結合が網膜における精密なシナプス形成に重要であることが明らかとなった。また、難病である筋ジストロフィー患者では網膜生理異常がしばしば認められることが知られているが、本研究から我々は、筋ジストロフィー患者の網膜生理異常の分子メカニズムの一端も解明した。次に我々は、ジストログリカンの網膜における生理機能を検定するためにDystroglycan floxマウスを用いて網膜特異的ジストログリカンコンディショナルノックアウトマウスを作製し、免疫染色、電顕、網膜電図などで解析を行っている。この実験から、ジストログリカンの網膜視細胞のシナプス形成における役割とシナプス形成のメカニズムの解明を進めている。
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Research Products
(19 results)