2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルカデイン代謝産物を利用したAD生化学的診断法の開発
Project/Area Number |
20023001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 利治 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 教授 (80179233)
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Keywords | アルツハイマー病 / 生化学的診断法 / 認知症 / バイオマーカー / アルカデイン / βアミロイド / セクレターゼ / APP |
Research Abstract |
アルカデイン(Alc)は、アルツハイマー病(AD)の発症に深く関わるアミロイドβタンパク質(Aβ)の前駆体であるAPPと極めて類似した機能、構造、発現・分布、代謝を受けるI型の膜タンパク質である。神経細胞ではAlcはAPPと、細胞質X11Lタンパクを介して三量体を形成するが、X11L不在下で協調的な代謝を受ける。AlcはAPPαセクレターゼおよびγセクレターゼによる切断を受けp3-Alcフラグメントを分泌する。P3-AlcはAβのように凝集性を示さないため、p3-Alcの量的もしくは質的変化はAβの生成のsurrogateマーカーとなる。昨年、3種類のAlcα、Alcβ、Alcγを発現する細胞から単離したp3-Alcの一次構造をMALDI TOF/MS MS/MS解析により決定し、特異抗体を作製した。抗体を用いて、ヒト脳脊髄液(CSF)中p3-Alcを検出し、遺伝子変異がない孤発性アルツハイマー病でもp3-Alcの質的変化があることを示し、一定数の孤発性アルツハイマー病患者は、γセクレターゼの機能変化によって生ずる仮説を提唱した。また、p3-Alcαに関しては、髄液と血中のp3-Alcを定量出来るsELISA法を開発できた。これらの成果は、将来的にADの早期発見や発症機構別治療法の選択に貢献すると考えられる。
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