2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20023005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富田 博秋 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90295064)
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Keywords | 脳神経疾患 / ゲノム / 脳・神経 / 遺伝子 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
日本におけるブレインバンク整備にあたって、死後脳研究で大きな課題となっている死亡時の低酸素状態への暴露が死後脳組織に及ぼす影響を包括的に評価する方法を確立する目的の一環として、平成20年度中にはヒト神経細胞、グリア細胞由来の培養細胞を低酸素下で培養して細胞機能への影響を評価した上でマイクロアレイ解析を行って低酸素状況が各種細胞に及ぼす遺伝子発現プロファイルへの影響を包括的に評価することを目的に実験を行った。ヒト神経細胞由来のSK-N-SH細胞、ヒト・アストロサイト由来のSVGp12、オリゴデンドロサイト由来のOL細胞を低酸素状態で培養し、ミトコンドリア活性、乳酸産生、増殖に及ぼす影響を評価したのち、マイクロアレイにより各細胞の遺伝子発現プロファイルへの低酸素の影響を評価した。脳が低酸素状態下におかれた際、グリア細胞、特にオリゴデンドロサイトが生物学的にも遺伝子発現プロファイルの上でも大きな影響を受けることが示された。オリゴデンドロサイトとアストロサイトは低酸素に対してアポトーシス関連や炭水化合物代謝に関わる遺伝子などが共通に発現変化を受けることも示された。平成21年度中には低酸素状況がヒト死後脳組織の分子遺伝学的現象に及ぼす細胞特異的な影響を評価するため、死後脳切片からレーザー・マイクロダイセクション法で打ち抜いた神経細胞、グリア細胞を対象とするマイクロアレイ解析を行い、遺伝子発現プロファイルに死亡時の状況、特に低酸素状態が及ぼしている影響を評価する。両年度の研究成果に基づき、(1)低酸素状態により脳内で細胞種特異的におこる現象に起因する分子群を特定するとともに(2)死後脳組織への死亡時の状況の影響、特に低酸素状態への暴露の程度を評価する尺度の作成を行い公表する。
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Research Products
(9 results)