2009 Fiscal Year Annual Research Report
Aβオリゴマー仮説を検証する新しいアルツハイマー病モデルマウスの作製
Project/Area Number |
20023026
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
富山 貴美 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (10305633)
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Keywords | Aβオリゴマー / APP E693Δ変異 / トランスジェニックマウス / 異常リン酸化タウ / ミクログリア / アストロサイト / ニューロン消失 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
本研究代表者は、前年度までに、APP E693Δ変異トランスジェニックマウスが8ヵ月齢頃からニューロン内にAβオリゴマーを蓄積し始め、シナプスの減少とともにシナプス機能低下や記憶障害が起こること、しかし24ヵ月齢でも老人斑を形成しないことを明らかにした。 今年度は、このマウスで老人斑以外のアルツハイマー病の病理変化が起こるかどうかを免疫組織化学的に検討した。用いた抗体は異常リン酸化タウがPHF-1とMC1、ミクログリアがIba-1、アストロサイトがGEAP、ニューロンがNeuNである。その結果、このマウスの海馬(特にCA3領域)と大脳皮質において、8ヵ月齢頃からタウの異常リン酸化、12ヵ月齢頃からミクログリアの活性化、18ヵ月齢頃からアストロサイトの活性化、24ヵ月齢でニューロンの消失が認められた。 以上の結果は、Aβオリゴマーだけでアルツハイマー病の病理変化が起こること、すなわち、Aβオリゴマーだけでアルツハイマー病が発症し進行し得ることを示唆している。さらに、老人斑はアルツハイマー病の発症・進行に必須ではないことも示唆された。本研究により、アルツハイマー病はAβオリゴマーによるシナプス機能障害で始まるとするオリゴマー仮説が実際の患者においても成立していること、老人斑よりもむしろAβオリゴマーが病理の発現に重要な働きをしている可能性があること、したがって今後の診断・治療法の開発においてはオリゴマーを標的とすべきことなどが示された。
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Research Products
(9 results)