2008 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病における神経細胞死の機序解明とその防御
Project/Area Number |
20023028
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
服部 信孝 Juntendo University, 医学部, 教授 (80218510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 紳一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20327795)
佐藤 栄人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00445537)
下 泰司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70286714)
波田野 琢 順天堂大学, 医学部, 助教 (60338390)
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Keywords | 遺伝性パーキンソン病 / Parkin / 学習能力 / DJ-1 / 共通機構 |
Research Abstract |
パーキンソン病は多様性の高い疾患と言える。患者の殆どは家族歴のない孤発型である。しかしながら、最近単一遺伝子異常に伴う遺伝性パーキンソン病の病態が孤発型パーキンソン病の病態に直接的にリンクすることが推定されている。パーキンソン病の神経病理学的マーカーであるレビー小体ユビキチン陽性封入体である。このことは蛋白分解系がその病態に関わっていることを示す。ユビキチンープロテアソーム系の代表格であるparkinとオートファジーの構成成分であるATP13A2がある。既にparkin KOマウスを作成し、行動異常を検討したが、明らかな行動異常は観察されなかった。しかしながら、ラット用ロタロッドを使った運動学習能力を検討したところ野性型マウスと比較して明らかにparkin KOマウスでは学習能力が低下していた。更にin vivoボルタメトリーによる検討でドパミン遊離の低下を見出した。今まで間接的な確証はあったものの直接的なドパミン遊離の低下は初めてである。更に通常ドパミン遊離が減少すると反応的にdopamine transporter(DAT)も低下するがparkin KOマウスではDATの十分な低下が観察されなかった。更にDAT阻害剤を投与することでドパミン神経細胞の反応が改善された。Parkin変異患者に診られる早期levodopa induced dyskinesiaの病態に少なくともinsufficient down-regulation ofDATが関与していることが推定された。またドパミンに遊離低下による学習能力の低下がparkin遺伝子変異の根本的な原因である可能性が示された。DAT阻害剤の治療戦略の可能性が出てきた。一方、オートファジー関連分子ATP13A2に関しては、変異型はERに留まりリソソームへ移動できないことが推定された。更にリソソーム病に観察されるfinger print様の封入体形成が観察された。ATP13A2は劣性遺伝性であることを考えるとリソソームへの移行破綻が病態の本質と考えられた。神経保護を考える上でERストレスの回避ではなくリソソーム機能の維持が新しい治療戦略と成りうると考える。
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Research Products
(5 results)