2008 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドカスケードのキープロセス可視化によるアルツハイマー病の診断・治療法開発
Project/Area Number |
20023036
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
樋口 真人 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (10373359)
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Keywords | アルツハイマー病 / 脳アミロイド / ポジトロン断層撮影 / アミロイドβペプチド / タウ蛋白 / 老人斑 / 神経原線維変化 / ミクログリア |
Research Abstract |
1. 神経免疫反応の生体画像バイオマーカー開発 アルツハイマー病においてアミロイド蓄積に端を発する病的変化の連鎖反応(アミロイドカスケード)のキープロセスとして神経免疫反応に着目し、その機能的意義を反映する生体イメージング技術の確立に取り組んだ。神経免疫担当細胞では活性化に伴って、translocator protein(TSPO)が増加するが、研究代表者らが独自に開発した放射性TSPOリガンドによるポジトロン断層撮影(PET)およびオートラジオグラフィーと、同じく独自作製の抗TSPO抗体を用いて、アルツハイマー病理モデルである変異型アミロイド前駆体(APP)およびタウトランスジェニック(Tg)マウスのTSPO局在を解析した。その結果、神経変性が軽微であるAPP TgマウスではアストロサイトでTSPOが増加し、神経細胞死が顕著に生じるタウTgマウスでは主にミクログリアでTSPOが増加することが明らかになった。さらに各種神経傷害モデルで同様の検討を行い、神経細胞に対して攻撃的に作用するのはTSPO陽性ミクログリアとTSPO陰性アストロサイトで、逆に保護的に作用するのはTSPO陰性ミクログリアとTSPO陽性アストロサイトであることを見出した。(J Neurosci 2008) 2. 神経伝達物質放出の生体イメージング 認知症の症状発現に密接に結びつくキープロセスである神経伝達物質の放出異常を、生体でPETにより非侵襲的に計測する技術の確立を目標とした。ドーパミン放出の変化を高感度に検出するために、アゴニスト型ドーパミン受容体リガンドをPETトレーサーとして導入し、さらに覚醒状態で小動物PETスキャンを実施できる技術を確立した。これにより、覚せい剤投与で線条体ドーパミンの放出が増加することと、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR5)阻害により覚せい剤がドーパミン放出に及ぼす効果を抑制できることを、生体イメージングにより証明しえた。(J Neurosci 2009)
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