2008 Fiscal Year Annual Research Report
室温溶液中ナノリンク分子の電気伝導特性の第一原理計算
Project/Area Number |
20027003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 聡 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00292772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 朋史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40376512)
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Keywords | ナノコンタクト / 計算物理 / 表面・界面物性 / 単分子架橋 / 電気伝導 |
Research Abstract |
単一分子架橋構造の伝導特性は理論・実験両面から盛んに研究されている。しかし室温・溶液中については、興味深い実験データが多数報告されているにもかかわらず、理論解析はあまりされていなかった。そこで本研究では、室温・溶液中での単一分子架橋系の安定性・伝導特性を第一原理計算により解析し、その振る舞いと物理を明らかにすることを目標に研究を進めた。本年度はまず、標準的な第一原理分子動力学計算とその結果得られた原子配置に対する非平衡グリーン関数法による伝導特性計算という方法により、金電極間ベンゼンジチオール分子の水中での構造および伝導度を解析した。その結果、水中と真空中とでは伝導度の平均値が異なるだけでなく、水中の方が伝導度の揺らぎ幅が小さくなることを見出した。さらに、伝導度ヒストグラムの副次的なピークの位置・数が真空中と水中とで異なっていることがわかった。また、これらの特徴が分子中のC-Sボンド長と相関していることを見出した。次に、非平衡グリーン関数法による分子動力学・伝導特性の一貫計算という、世界的にまだ報告例のほとんどない計算方法を試みた。水中の金電極間ベンゼンジチオール分子について予備的な計算を行い、正しく動作してこれまで用いた方法による結果と定性的に一致する振舞いが得られることを確認した。さらに、バイアス電圧を印加した計算も実行できることを確認した。多数の時間ステップにわたる本格的な計算は次年度に行う予定である。
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Research Products
(5 results)