2009 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子伝導性評価のためのアダマンタン分子三脚-分子ワイヤー連結系の創製
Project/Area Number |
20027006
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 敏一 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 克幸 三重大学, 生命科学研究支援センター, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301241)
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Keywords | 分子三脚 / 金-チオール結合 / 単分子膜 / アダマンタン / フェロセン / 金(111)面 / 分子ワイヤー / 電子移動速度 |
Research Abstract |
本年度は、従来開発したアダマンタン骨格からなるコアと3個のSH基を持つ三脚形分子がAu結晶表面に強固に3点吸着することを利用して、三脚の上部に連結した三重項カルベンの安定発生を目的とする実験を行った。まず、立体保護基してオルト位に2個のメチル基と2個のブロモ基を持ち、またパラ位にカップリング反応の継ぎ手であるエチニル基を有するジフェニルジアゾメタンを合成した。一方、アダマンタン分子三脚の上部にp-ヨードフェニル基を結合した分子を合成し、これと上記のジフェニルジアゾメタンとをSonogashiraカップリング反応により連結してジアリールジアゾメタン-分子三脚連結体を合成した。得られた連結分子の単分子膜を(111)表面をもつAu基板上に作製し、吸着分子の表面密度をサイクリックボルタンメトリーによる還元的脱離の観測から決定した。単分子膜で修飾したこのAu基板をベンゼン中、カルベン捕捉剤(フェロセニルメタノールまたはビニルフェロセン)の存在下で光照射してカルベンを発生させ、ヒドロキシ基あるいはビニル基によるカルベンの捕捉を試みたところ、全吸着分子の3%に相当するカルベンが捕捉されたことが、照射後のAu基板のサイクリックボルタンメトリー測定におけるフェロセニル基の酸化波により確認された。以上、金属基板上でのカルベン発生が確認されたが、今後さらに捕捉の効率を高めることが望まれる。ここで確立したカルベン確認の手法をもとに、より効果的な立体保護基で長寿命化したカルベンの単分子膜上での物性評価が可能になると考えられる。
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Research Products
(1 results)