2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハイコンダクタンス単一分子接合に向けた電極―分子界面の創製
Project/Area Number |
20027009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 正輝 Osaka University, 産業科学研究科, 准教授 (40362628)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / メゾスコピック系 / ナノ材料 / 表面・界面物性 / トンネル現象 |
Research Abstract |
電極-分子カップリングは、電極と分子間の移動積分の大きさと金属の表面状態密度の増加に伴って大きくなると理論的に予測されている。本研究では、当初、この理論予測を検証するため、TTFとTSFを用いて、電極金属をAu、Ag、Cuと変えることにより、単分子コンダクタンスの金属電極存性を調べる予定であった。しかし、これら貴金属上の自己組織化膜の詳細な電子状態評価の結果、AgとCuを電極とする場合には、金属表面の酸化を抑制して分子を接合させることが困難であることが分かった。そこで、本研究では、電極-分子カップリングの電極-分子間の移動積分依存性を調べるため、ベンゼンジチオール(BDT)、アミノベンゼンチオール(ABT)、ジアミノベンゼン(DAB)の3種類の単分子コンダクタンスと単分子接合の寿命を調べた。BDT、ABT、DABの単分子コンダクタンスは、それぞれ、11mG_0、14mG_0、7mG_0(G_0:量子化コンダクタンス)であった。一方、BDT、ABT、DABの単分子接合寿命は、それぞれ、50000s、0.5s、0.2Sであった。単分子接合寿命と金単原子接合寿命から、Au-S、Au-Au、Au-NH_2結合を破断する活性化エネルギーは、それぞれ、1.6eV、1.0eV、0.7eVと見積もられた。大きな電極-分子間の移動積分を持つ結合が、強い結合であることを考えると、電極-分子のカップリングの大きさは、Au-S>Au-Au>Au-NH_2の順になると予測される。しかし、ABTとDABのHOMO-LUMOギャップが、5.60eV、6.35eVと大きく異なるため、単分子コンダクタンスの違いを電極-分子カップリングの違いにのみに帰着することが困難であった。今後は、同程度のHOMO-LUMOギャップを持つ分子系で単分子コンダクタンスと電極-分子カップリングの相関を調べる必要がある。
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Research Products
(4 results)