2008 Fiscal Year Annual Research Report
多脚型アンカー基をもつレドックス活性分子を起点とした分子配線の構築と電子機能
Project/Area Number |
20027014
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
芳賀 正明 Chuo University, 理工学部, 教授 (70115723)
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Keywords | 自己組織化膜 / レドックス活性分子 / 超分子薄膜 / 分子メモリ / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
多脚型アンカー基により分子を多点吸着で固体表面に固定、垂直および水平配向の制御を行い、(1)基板表面上での基質取り込み空間の作成(2)電位印加による表面錯体内へのイオンの蓄電能について検討した。具体的には、(1)としては3座配位子であるターピリジン基を3個もちD_3h対称の架橋配位子および6個のアルキルホスホン酸基をもつ三座配位子およびこれらの配位子をもつルテニウム三核錯体を新規に合成し、ITO電極基板への錯体の自己組織化膜の作製を行ない、接触角測定から分子の吸着により基板が疎水化されることを明らかにした。この錯体修飾ITO基板の電気化学測定において、ジチオフルバレンが固定された錯体内の小空間に内包されること、薄層分光電気化学の測定から固定された錯体膜はエレクトロクロミック性を示すことを明らかにした。(2)としてはホスホン酸基をもつ垂直配向型ルテニウム錯体を合成し、それをITO電極に表面固定し、錯体が垂直配向をしていることを原子間力顕微鏡(AFM)から明らかにした。レドックス活性であるRu錯体が、酸化される+1Vをパルス電位として印加し、OVに戻った後に錯体が吸収をもつ光照射(500nm)を行うと、カソード過渡電流が観測されるが、逆に負方向(OV⇔-1V)のパルスをかけた後に同様に光照射すると反対のアノード過渡電流が観察された。錯体がない場合にはこのような応答性は観察されないことから、錯体の酸化されるパルス電位の正負の方向をメモリー(メモリ機能)していると考えられる。これまでにないまったく新しいメモリデバイスとしての駆動方式であることを明らかにした。
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