2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20028003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 義和 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 講師 (70199397)
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Keywords | クォーク模型 / バリオン間相互作用 / ストレンジネス / 共鳴群模型 / ハイペロン / ハイパー核 / Faddeev方程式 / G-行列 |
Research Abstract |
本研究の目的は、QCDの特徴を捉えた有効クォーク模型により、核子間力を含む任意の基底状態バリオン間の統一的相互作用を微視的クラスター模型の枠組みを用いて作成することである。これらに対しては、既にFSS, fss2という現実的クォーク模型バリオン間相互作用が既に得られているが、近年の詳細な少数多体Faddeev計算により、特にAN相互作用において中心力やスピン軌道力部分の不十分さが明らかになった。今年度は、まずNN相互作用について、Nijmegenグループによる位相差解析のデータベースを用いてχ二乗解析を行った。その結果、非常に精度よく実験データを再現していると思われるfss2についても、実際はχ値はおよそ3程度で更なる改善の余地があることが分った。もう一つの研究目的である、使い易いガウス函数による非局所バリオン間ポテンシャルの作成については、まず、エネルギー依存性のある元来のfss2そのものに対してポテンシャルを作成し、それを用いてトリトンやハイパートリトンの結合エネルギーを検討した。トリトンについてはこのポテンシャルの誤差は15keV程度で、実験値との差350 keVに比べて十分小さく、以後の少数バリオン系の厳密計算においても十分使えることが明らかになった。更にこのポテンシャルをnd散乱の共鳴群模型による解析に応用し、散乱の位相差や低エネルギー有効距離パラメータを検討した。チャンネルスピン1/2の系の記述は模型空間の広さの限界から不十分であるが、3/2の系についてはfss2を用いて十分実験データを再現することが出来ることが明らかになった。現在、nd Faddeev formalismによる更に進んだ取り扱いに取り組んでいる。
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