2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20028010
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
梅谷 篤史 Osaka Electro-Communication University, 医療福祉工学部, 学術研究員 (20454580)
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Keywords | ストレンジネス核物理 / ハイパー核 |
Research Abstract |
本研究課題では, 平成20年〜21年度の2ヵ年の期間内に, 1. (π^-,K^+)反応による中性子過剰Λハイパー核の生成プロセスを理論的に解明し, 生成断面積を求める, 2. 殻模型による中性子過剰核および中性子過剰Λハイパー核の構造計算を行い, 中性子過剰Λハイパー核の構造を明らかにすることを目的としている。本年度は課題を実行するための計算コード開発を行い, 実験データの出ている中性子過剰Λハイパー核^10ΛLiに適用し議論を行った。 (π^-, K^+)反応は1段階過程反応と2段階過程反応が考えられる。^10Bを標的とした(π^-, K^+)反応による^10_ΛLi生成ついて,Σ^-チャネルを経由する1段階過程反応による生成断面積を結合チャネル歪曲波インパルス近似の枠組みを用いで評価した。そして実験で得られた生成スペクトルは1段階過程反応によってよく説明できることを示した。^10_ΛLiにおけるΣ^-の混合率はおよそ10^-1%程度である。これはまた^10B(π^-,K^+)反応の分析によりΣ混合を含んだ波動関数の正確な検証を与える可能性を示唆している。 また^10_ΛLiの構造ついてΛ-Σ結合を考慮した殻模型計算を行った。^10_ΛLiの基底状態におけるΣ混合率は約0.3%, エネルギーシフトは約0.3MeVという値が得られ, これは^7_ΛLiのものよりも約3倍大きい。Σ混合率が大きくなる理由として, 1. ΣN相互作用によってΛ基底状態と強く結合するΣ励起状態があらわれている, 2. これらの強いΛ-Σ結合はFermi型およびGamow-Teller型結合の成分がコヒーレントに足し合わされている, 3. 中性子過剰な環境においてはFermi型結合が大きくなっていることが挙げられる。
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