2008 Fiscal Year Annual Research Report
多体変分法による光学格子上のボース系とフェルミ系のモット転移に関する対比的研究
Project/Area Number |
20029002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (60212304)
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Keywords | 物性理論 / モット転移 / ハバード模型 / ボソン / フェルミオン |
Research Abstract |
運動エネルギー(W)と斥力相互作用エネルギー(U)が拮抗する領域で起こるモット転移を、従来の弱相関理論(U/W→0)や局在系の理論(U/W=∞)で正しく扱うことは難しい。そこで、あらゆるU/W値に対して局所相関を厳密に扱える変分モンテカルロ(VMC)法を適用して、フェルミ系とボース系のモット転移に関する対比的研究を行った。 光学格子で実現される冷却ボース粒子系はボース・ハバード模型によって適切に記述される。この単純な系でモット転移機構の詳細を理解することにより、より複雑なフェルミオン系での転移機構のより深い理解にフィードバックすることができる。波動関数の多体部分にはモット転移の記述に本質的となるグッツヴィラー因子と次近接サイトまでのダブロン-ホロン相互作用を導入した。昨年度以前に研究したフェルミハバード模型(フラストレーションを入れた正方格子)では、試行関数中の行列式の計算が比較的重く、L≦16(L : 線形次元)の系を用いた。この場合、様々な物理量の結果から、U=Uc〜Wという有限の臨界相互作用値において、1次の非磁性モット転移が起こると思われた。一方、今年度計算したボース系の波動関数は、L=40程度の系が扱えるため、サイズ依存性をより正確に議論できる。その結果、Uc値はLの増大に伴って増大し、容易に収束しないことが解った。つまり、モット転移の臨界値は自由粒子(金属)側と絶縁体側のエネルギーの微妙な競合によって決まるため、かなり繊細な量である。これらの研究成果を基に、次年度はモット臨界値の決定に重要な要因(ジャストロー因子等)を探る予定である。
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