2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20029005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 徹 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (60245371)
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Keywords | 低温物性 / 表面・界面物性 / 半導体物性 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
世界最高移動度を誇るSi/SiGeヘテロ接合二次元電子系試料に対して、(1)金属絶縁体転移近傍の量子状態の解明と(2)ランダウ準位交差点近傍における新しい量子状態の探索、を目的として研究を行った。 (1)に関しては、共鳴線幅の測定から散乱時間に関する決定的な知見を得るために、サイクロトロン共鳴の測定系を立ち上げた。まず、ミリ波領域での高感度ボロメーターの開発を行い、その後、サイクロトロン共鳴吸収の予備的な測定を3He冷凍機中で行った。シリコン2次元電子系の電子温度への影響が無視できるほどの微弱なミリ波を用いて、サイクロトロン共鳴吸収を観測することに成功した。 (2)に関しては、試料回転系を組み込んだ3He-4He希釈冷凍機を用いて行っている。面内磁場に対する異方性を明らかにするために、L字型のホールバーを作製した。また、システムに改良を加えて、ランダウ準位充填率を固定した状態でトータル磁場を制御した測定を行えるようにした。ランダウ準位充填率が整数の場合には、擬スピンのイジング強磁性状態間の1次相転移に伴う電気抵抗のスパイク構造やヒステリシスが観測されたが、遷移領域においてはディップ構造が観測された。ディップ構造の温度依存性、充填率依存性、ヒステリシス、およびホール抵抗に見られる電子・正孔対称性を詳細に調べた。実験結果は、準位交差点近傍において、2つのランダウ準位の混成からなる局在電子状態が形成されたことを強く示唆する。ヒステリシスが観測されたことから、擬スピン偏極状態との相転移は1次転移であると考えられる。
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Research Products
(5 results)