2008 Fiscal Year Annual Research Report
圧力・不純物量で制御された量子スピン液体の安定性の研究
Project/Area Number |
20029006
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤山 茂樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 高木磁性研究室, 研究員 (00342634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野田 繁樹 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (70455335)
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Keywords | スピン軌道相互作用 |
Research Abstract |
局在電子スピン間の交換相互作用ネットワークにフラストレーションが生じる場合、対称性の破れを伴わない量子スピン液体が実現する可能性が理論的に提唱されている。しかし、既存の三角格子やカゴメ格子においては微少不純物のためフラストレーションが部分的に解消され容易にグラス化してしまう。近年三次元カゴメ格子を有する物質においても量子スピン液体相が出現する物質が初めて見出された。この新奇電子相が圧力や不純物といった外部摂動に対しどれくらい安定に存在し得るかを実験的、および理論計算により明らかにし、スピン液体相を有する物質の設計指針を与える。これまで、イリジウム酸化物は5d波動関数の空間的な広がりが大きく波動関数間の重なり積分が大きくなるため、殆どの物質が金属となることが知られる。近年、Sr2IrO4をはじめとするいくつかのイリジウム酸化物においては、電気伝導特性や磁気特性が金属とならず、反強磁性絶縁体となることがわかってきた。今年度は、SPring-8を用いた共鳴および、非共鳴X線散乱を用いて、この物質の磁気構造を決定することに成功した。これは、中性子散乱法を用いることのできないイリジウム酸化物において、初めて磁気構造の解析に成功した例である。さらに、共鳴散乱を用いた磁気散漫散乱の観測に初めて成功し、常磁性領域における磁気相関の温度依存性を明らかにした。結果は、二次元正方格子における非線形σ模型を用いた時に理論的に予測される温度依存性を再現した。
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Research Products
(17 results)