2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20029008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳瀬 陽一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (70332575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 将文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (80431790)
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Keywords | BCS-BECクロスオーバー / 空間反転対称性がない超伝導 / FFLO超流動 |
Research Abstract |
強相関電子系における異方的超伝導の研究が発展を続ける理由の一つは、新しい超伝導秩序変数の発見とそれに伴う新奇な対称性の破れにある。この問題に関して、本年度は以下の3つの研究成果を得た。 1、空間反転対称性が破れた系の磁性と超伝導 空間反転対称性を持たない超伝導体の代表例であるCePt_3Siの電子構造を記述するババード模型を構成し解析した。パリティの破れとスピン軌道相互作用により、偶パリティ超伝導と奇パリティ超伝導が混成するメカニズムを明らかにした。これは、空間反転対称性がない超伝導に対する初めての微視的理論である。また、空間反転対称性がない超伝導体の多くは反強磁性と共存する。この共存がCePt$_3$Siの異常な物性の起源であることを示した。 2、反強磁性量子臨界点近傍のFFLO超伝導 並進対称性の自発的破れを伴うFFLO超伝導が話題となっている。その候補となる物質は全て反強磁性量子臨界点の近傍にある。それまでの予想に反し、量子臨界点近傍ではFFLO超伝導が安定になることを我々は示した。さらに、FFLO超伝導と磁気秩序が共存する可能性を示した。最近の実験によりこの共存状態が発見され、大きな注目を集めている。 3、レーザー冷却中性原子気体におけるFFLO超流動とBCS-BECクロスオーバー インバランスなフェルミ原子気体において、回転対称性が自発的に破れた超流動相(Angular-FFLO超流動)が実現することを提案した。
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Research Products
(4 results)