2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20029018
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青木 勇二 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (20231772)
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Keywords | 強相関電子系 / 超伝導 / スクッテルダイト / 四極子エキシトン / 時間反転対称性の破れ |
Research Abstract |
「f電子の四極子(軌道)揺らぎに起因して、クーパー対が磁性を持った」新しいタイプの超伝導相が実現していると期待されるスクッテルダイトPrOs_4Sb_<12>重い電子超伝導体において、超純良単結晶試料をベースに、制御可能な結晶不完全性を導入し、「スーパークリーンからの逸脱度と超伝導特性の相関」を調べることにより、この超伝導相の解明(秩序変数と引力機構のミクロスコピックな理解)に迫る研究を推進した。その結果下記の成果を得た。 1. Prサイト充填率と超伝導特性の相関 超伝導体PrOs_4Sb_<12>の試料育成条件を変えることにより、Prサイトの充填率をある程度制御できることを示すことができた。さらに、この特性を利用して、Prサイト充填率の異なる試料を系統的に育成し、超伝導特性や各種物性測定を行った。その結果、(1)Prイオンの4f電子の結晶場第一励起状態のエネルギー準位が、Prサイト充填率に依存して大きく変化すること、および、(2)この結晶場励起エネルギーと超伝導転移温度に相関が見られること、がわかった。 2. Osサイト元素置換による結晶場準位エネルギー制御 OsサイトをRuで部分的に置換することにより、結晶場励起エネルギーをさらに大きな範囲で制御できることがわかってきた。超伝導転移温度は、中間濃度で最小値を取ることがわかっているが、この振る舞いが、結晶場励起エネルギーの変化を考慮することで理解できる可能性があることがわかった。 上記の結果は、四極子励起と超伝導特性の相関の存在を間接的に示しており、今後定量的な解析を行うことにより、引力機構のミクロスコピックな理解を目指す。
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