2008 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系のリング交換が引起す新奇な量子凝縮相の理論的・数値的研究
Project/Area Number |
20029020
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坂井 徹 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60235116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 清美 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40152342)
野村 清英 九州大学, 理学研究科, 准教授 (70222205)
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Keywords | 強相関電子系 / リング交換 / スピンラダー / スピン液体 / スピンギャップ |
Research Abstract |
銅酸化物高温超電導体やスピンラダー系などの強相関電子系において、各プラケット上ではたらく量子スピン間のリング交換相互作用が引き起こす新奇な量子凝縮相について、数値的厳密対角化と有限サイズスケーリングを用いて理論的に研究した。その結果、以下のような現象が起きることが理論的に予測された。 ・スピンラダー系の磁場誘起スピンネマティック相 鎖間方向の結合が強磁性的なスピンラダー系において、容易軸タイプの異方性が大きい場合には、磁場中でスピンネマティック相が生じることが、これまでの研究で判明していたが、これでは実際の物質IPA-CuCl_3で観測されている2段階のスピンフロップ転移が説明できなかった。今年度の研究により、同様の系にリング交換がはたらくときにもスピンネマティック相が実現することが明らかとなり、これによって実験結果が説明できる可能性がでてきた。 ・3本鎖スピンラダ一系のフェリ磁性 3本鎖スピンラダ一系にリング交換がはたらくとき、フェリ磁性が実現する可能性があることが、簡単な解析的議論から理論的に予想することができた。
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Research Products
(19 results)