2008 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場による強相関電子系の制御と高エネルギー分光研究の理論的展開
Project/Area Number |
20030005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原田 勲 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10030785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 耕三 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70194355)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 物性理論 / 高エネルギー分光 / 混合原子価 / 磁場誘起相転移 / X線吸収スペクトル / 磁気円2色性 |
Research Abstract |
幾つかの希土類元素(Ce, Yb, Eu, Smなど)化合物では、希土類イオンの原子価が整数として定まらず、中途半端な値をとる。このことが原因となり、それらの物質は様々な特異な物性を示すことが多い。このような現象は混合原子価状態と呼ばれ、局在した希土類元素の4f電子と遍歴している伝導電子間の混成や電子相関に深く関係し、物性研究者の興味を集めている。一方、強磁場の生成法が最近格段に進歩し、例えば、40テスラの磁場印加により、混合原子価化合物として知られているEuNi 2(SiO. 18GeD. 82)2において磁場誘起価数相転移が観測されるという画期的な実験が日本で行われた。そして、その磁場誘起価数相転移が原子選択性、殻選択性という他には見られない特徴を持つミクロな観測手段、高エネルギーX線吸収分光(XAS)やその磁気円2色性(XMCD)により観測されたのである。 本研究では、実験で研究されたEu化合物を例にして、その電子状態を局在した4f電子と遍歴している伝導電子の系として考慮し、それらの間の混成や電子相関を取り入れたモデルを構築した。そして、この物質が示す磁場誘起価数相転移を再現すると共に、XASやXMCDスペクトルをそのモデルに基づいて定量的に計算した。このような研究により、磁場誘起価数相転移における電子状態変化の詳細とXAS及びXMCDスペクトルとの関連を明らかにし、これらの実験から得られる電子系に対する詳細な情報がどのようなものであるかを明らかにした。このことにより、価数相転移の物理的基礎付けやこれらの理論に基づく電子材料の開発に新たな道を開くことが期待される。
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Research Products
(4 results)