2009 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場による強相関電子系の制御と高エネルギー分光研究の理論的展開
Project/Area Number |
20030005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原田 勲 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10030785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 耕三 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70194355)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 物性理論 / 高エネルギー分光 / 混合原子価 / 磁場誘起相転移 / X線吸収スベクトル / 磁気円2色性 |
Research Abstract |
希土類元素化合物には、希土類イオンの価数が整数として定まらない物質群がある。この場合、希土類インは2つの価数状態の重ね合わせとして表現され、この重ね合わせが原因で特異な物性を示すことが多い。これらは混合原子価状態と呼ばれ、局在した希土類元素の4f電子と遍歴している伝導電子が織り成す現象と解釈され、強相関電子系多体問題として興味を集めている。 本研究は、混合原子価状態における磁気的価数状態と非磁気的価数状態の量子力学的重ね合わせ状態が、原子選択性、殻選択性という特徴を持つミクロな観測手段、高エネルギーX線吸収分光(XAS)やX線磁気円2色性(XMCD)により、如何に観測されるかを明らかにする目的で行われた。具体的には、混合原子価状態を示す物質EuNi2(Si0.18Ge0.82)2やその関連物質で観測された"磁場誘起価数相転移"が、XASやXMCDによりどのように観測されるかを、理論的モデルを構築し、そのモデルによる定量的なスベクトルの計算により明らかにした。モデルは、局在した4f電子と遍歴している伝導電子の系から成り、それらの間の混成や電子相関が考慮されている。モデルでは、異なった価数状態、Eu3+(非磁性状態)とEu2+(磁性状態)、の間の混成を、角運動量の保存則に注意して取り入れられた。このことは、特にXMCDに関して重要となる。逆に言えば、XMCDはそのような波動関数の詳細についての情報を与えることが明らかにされた。従って、混合原子価物質のXMCD観測は、原子選択性、殻選択性に加えて、波動関数の成分選択性という特異な選択性が加った一層ミクロな測定手段と言える。 以上の研究により、磁場誘起価数相転移の物理的基礎付による、新たな電子材料開発への新たな道の開拓が期待される。
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Research Products
(6 results)