2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20031003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 一弥 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30195979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 泰久 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (80303337)
清水 由隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (20357221)
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Keywords | エントロピー / 結晶相 / イオン液体 |
Research Abstract |
低融点などのイオン液体の特異な性質の起源を探るために,前年までに代表的なイオン液体であるイミダゾリウム系イオン液体の1-alkyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)amide([C_nmim][Tf_2N])の熱力学的性質のアルキル鎖長依存性について検討したので,今年度はピロリジニウム系のイオン液体の一つであるN-butyl-N-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethylsulfonyl)amide([bmp][Tf_2N])について断熱型熱量計を用いた低温熱容量測定を行い,[C_4mim][Tf_2N]の性質と比較・検討した.融解に関する熱力学量は全て[bmp][Tf_2N]の方が小さかった.これは,[C_4mim]^+イオンにおける電荷の非局在化によるクーロン相互作用の低下よりも,[bmp]^+イオンにおける電荷をもつ窒素原子にアルキル基が直接結合していることによる立体障害によるクーロン相互作用の低下の影響が大きいためである.100K以下の低温における結晶相や液相における熱容量の温度依存性は量子化学計算で説明できたが,100Kから融点にいたる結晶の熱容量の挙動は量子化学計算では再現できず,分子間(イオン間)相互作用の効果が顕著であることがわかった.この結果は,イオン液体が液相よりも固相において一般の分子性化合物と顕著な物性異常をもつとした前年度の結果(Y.Shimizu et al.,Chem.Phys.Lett.,470,295(''09))と整合した結果であった.
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