2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20031006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 宏子 Chiba University, 分析センター, 准教授 (60114245)
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Keywords | NMR / 拡散係数(D) / 緩和時間(D_1, T_2) / イオン液体 / 溶液動態 |
Research Abstract |
1) [C_4mim]Brの^1H-T_1について検討した。0.10Mより低濃度溶液(D_2O)でのD減少同様、特異的変化が観測された。濃度・温度可変測定による^1Hの化学シフト値の変動・NOEの実験結果、^<13>C-T_1測定から求めた活性化エネルギーからブチル基の運動が抑制されていること、NOE測定の結果から[C_4mim]^+の凝集体生成が示唆された。活性化エネルギーの結果は、D_2O中ではブチル基を内側にしたミセル様会合構造を取っている確率が高い。 2) Neat[C_4mim]Brの^1H-T_1の特異性について^<13>C-T_1の温度依存性と^<13>Cスペクトルの温度依存性からイオン液体の各部の運動性との関連性を検討した。その結果[C_4mim]^+の各部の炭素の運動性は極めて異なっており、特にブチル基の末端メチルは固体の中でも、相関時間を求めた結果、1×10^<-8>s以上の速度で動いていると推定できた。 3) [Rmim]BrのRをエチル, プロピル, ブチルとした時の相転移の違いを、温度関数としてのT_1、T_2を測定した。また^<13>Cスペクトルと^<13>C-T_1測定をすることで温度変化に伴うカチオン内の動きを推測した。その結果、[C_2mim]Brは降温過程では290Kで結晶化するが、[C_3mim]Brは降温昇温いずれの過程でも結晶化しない。[C_4mim]Brは降温過程で結晶化しないが、昇温過程270K付近で結晶化する。[C_2mim]Brは降温過程の290K近傍で各部の運動が揃ってきて結晶化するが、[C_3mim]Brも[C_4mim]Br各部の運動は降温過程において揃うようなことはなく、異なる速さで動いているために、結晶化し難くなる。しかし[C_4mim]Brが昇温過程270K付近で結晶化するのは、固体が溶けだそうとするときブチル基が安定なコンフォメーションに移行するためではないかと考えてさらに検討している。
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